「あなたはフライト、どこまでも飛んでいくのよ」
フライト・ランドはあの日の母の言葉を忘れない。
生気のないこの町には似合わない、真っ直ぐな目をしていた。
ここは首都から隔離された町であり、社会の底辺でもある。
這い上がることも、抜け出すことも出来ないと言われる死んだ町。
一年中よく雨が降り、まるで町が、涙を流しつづけているかのようにも見えた。
しかし今日、ここを抜けだすことに成功した少年が、一人。
彼は決めた。必ずここに戻ってくることを。
人々が飢え、死に絶えることのない、安心して暮らすことのできる町にすることを。
生意気だと殴られ、馬鹿にされても、彼の意思が揺れ動くことはなかった。
彼は知っている。
この世界にはまだ、希望の光があるのだ――――